今年から圃場では数種の在来作物を育てています。 在来作物とは、各家でずっと種を受け継ぎ、同じ土地で育ててきた作物のこと。在来野菜、伝統野菜とも呼ばれています。その作物の特徴が強く出ている種だけを選別し続けた固定種は、かつて地域に無数にありましたが、今はその数が激減しています。 最上地方では「最上伝承野菜」というブランド名で呼ばれています。 ワーコム®を入れた畑で、豆を中心に植えたのですが、発芽率もよく、すくすく成長しています。もともと土地に根付いた作物なので、ちゃんと育つことはわかっていましたが、予想以上に株が元気なのが嬉しいです。 研究所では産業としての農業の基盤作りを進めていますが、流通・販売の前に、まずは一番の地盤となる「生産」について研鑽を怠ることはありません。栽培・管理法を追求することなどももちろんですが、産業ですから、効率よく業務にあたり、利益を生み出すことが必要になります。 これまでは、ただ効率を追い求めた結果が、F1種や遺伝子組換え作物の蔓延、いきすぎた農薬や化学肥料の使用による土壌の破壊につながり、人体や家畜などにも影響を与えています。地下水や河川の汚染など、全てにつながって、緩やかに環境をも破壊していきます。 食の背景、歴史に目を向けると、現代の農業が失ってしまったものがあまりに多いです。 現会長が開発したワーコム®は、土を健康にする堆肥発酵促進剤。 数十年前に、農業の未来を予見して、研究所では環境保全型(循環型)農業が実践されていました。 環境を守りながらも、効率のよいシステムを現場で管理しています。「環境によい=手間がかかる」ではありません。 研究所で開発した技術によって、農薬・化学肥料に頼らない、しかし食味はどこにも負けない作物を育てることができる、いい作物を作れば求められ、自然と収益は上がります。土地に負荷をかけず「産業としての農業」が実現するのは間近です。 一方で最近では、自作農・小作農が中心だったかつての農業の中に、当たり前にあった「種をとること」「土地のものを循環させて生きていくこと」などが世間にも再び注目され始めています。 在来作物は、自然淘汰されて「その土地に合った」「育てやすい」「文化に根付いた」ものが残りました。昔の農家も、いかに効率よく作物を育てて収穫するか、考え抜いていたはずです。現在でも育てている農家さんの話を聞くと、現代農業に活かせるヒントがいくつもあります。 過去にも未来にもしっかり目を向けて、よりよき農業の行先を切り拓いていく。
先人が守ってきた種がすくすく育つ様子には、全ての教えが詰まっているような気がしてなりません。 おじま